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主婦年金廃止とは?内容・いつからなのかわかりやすく解説!

岸田文雄首相が「(第3号被保険者制度(主婦年金)について)抜本的に制度を変えないといけない」と発言したのは2023年10月上旬のことでした。

武見敬三厚生労働大臣は配偶者手当を設けている一般企業に廃止を求めていく考えを表明しています。

専業主婦への風当たりが強くなっているさなかの2023年10月26日、Xで『主婦年金廃止』というワードがトレンド入りしました。

りこ

年金のことってわかりにくいよね~

主婦年金が廃止になるとはどういうことなのか、いつ廃止になるのかなど調査しましたので、わかりやすく解説してみたいと思います。

この記事でわかること

・主婦年金とは?

・主婦年金が廃止になるのはなぜか

・主婦年金廃止になるのはいつごろか

ぜひ参考にしてみてください。

主婦年金とは何?わかりやすく内容を解説!

 

日本の年金制度では20歳以上60歳未満の人はすべて国民年金への加入が義務付けられています

また加入者(被保険者)は職業などによって第1号、第2号、第3号の3つに区分されます。

その中の第3号被保険者の年金が「主婦年金」と呼ばれているのです。

詳しく説明していきますね。

種別 第1号被保険者 第2号被保険者 第3号被保険者
加入する制度 国民年金 国民年金と
厚生年金保険
国民年金
対象者 学生
自営業者
農林漁業者 等
会社員
公務員 等
国内に居住し、第2号被保険者に扶養されている配偶者
届出方法 居住地の役所・役場へ届出 勤務先を通じて事業主が届出 第2号被保険者の勤務先経由で届出
保険料の納付方法 各自で納付 勤務先を通じて納付
(給料から天引き)
自己負担なし
(第2号被保険者の加入制度が負担)

 

第3号被保険者とは、第2号被保険者(会社員や公務員など)に扶養されている配偶者で、原則年収130万円未満の人が該当します。

専業主婦(夫)、年収の調整をしながら働いているパートの人のほとんどが当てはまると考えられますね。

第3号被保険者には、自身で年金保険料の負担なしで将来基礎年金を受け取ることができる特徴があります。

これは第1号被保険者に扶養されている配偶者にはないものです。

1986年に始まった第3号被保険者制度は、専業主婦の無年金を解消するためのものでした。

それ以前は会社員の配偶者も任意で年金保険料を払って国民年金に加入していました。

当時は約7割の専業主婦(夫)は国民年金に加入していましたが、加入していない残りの3割が無年金状態になります。

このことを危惧した政府は、約7割の国民年金加入者も含めて会社員と公務員の配偶者で専業主婦(夫)全員の保険料負担を免除しました

これが第3号被保険者制度です。

りこ

だから「主婦の年金」って呼ばれるんだね!

 

ただ、この制度が生まれたのには別の背景があります。

1986年当時、年金受給額を昔の人より3割カットするという議論が起こり、同時に厚生年金保険料率は約2割引き上げられました。

その代わりとして専業主婦(夫)からは保険料を徴収しないと政府は打ち出した側面もあるのです。

つまり、第3号被保険者の年金保険料は配偶者が肩代わりしていたのと同じと言えるでしょう。

 

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ではその第3号被保険者制度はなぜ廃止になると言われているのでしょうか?

  1.  制度が導入された40年前とライフスタイルが変化した
  2.  人手不足の中、様々な扶養制度がパートの就業調整の要因になっている
  3.  連合の芳野会長が第3号被保険者制度の廃止要請を検討していると発言
  4. 目前に迫っている2025年問題のため社会保障費を確保したい

順に詳しく解説していきますね。

 

制度が導入された40年前とライフスタイルが変化した

1980年代の片働き(専業主婦・主夫)世帯は約1000万世帯でしたが1990年代に共働き世帯と世帯数が逆転しました。

それからは片働き世帯が減少の一途をたどっており、2019年では582万世帯まで減少しています。

また、未婚の現役会社員も増えています。

このように単身世帯、共働き世帯が増加したことで40年前の標準モデルと現在のライフスタイルが食い違ってきていることが制度廃止の理由になりそうです。

 

人手不足の中、様々な扶養制度がパートの就業調整の要因になっている

第3号被保険者から外れたくない働く主婦(夫)は、労働時間を調整しながら働くことになります。

そうすると、人手が足りなくなる企業が増えると考えられます。

最低賃金も値上がりしている現在は、年収130万円未満を維持するためにさらに労働時間を減らす人が増え、労働力不足が深刻化する可能性が高くなります。

そこで政府はパートや専業主婦(夫)の労働力を利用したいと考えているようです。

年収130万円の壁をなくし、第3号被保険者制度を廃止すれば、もっと働いて収入を得た方がいいと思う主婦(夫)層が増えるのではないか、というのが政府の目論見だと思われます。

 

連合の芳野会長が第3号被保険者制度の廃止要請を検討していると発言

日本労働組合総連合会(連合)の芳野友子会長が2023年6月定例記者会見で、

「ライフスタイルによって女性の位置づけが変わってしまうのは不公平な制度ではないか」

「どういう生き方をしても中立的に不利にならない制度にしていかなければならない」

「共働き世帯が増えてきているので、共働き世帯中心の社会保障制度を作っていくことが一人一人にとって中立的になるのではないかと考えている」

など、第3号被保険者制度が不公平な制度であるという考えであること、中立的な社会保障制度を実現するため取り組むべきものの一つとして制度の廃止の方向性を示唆しました。

ライフスタイルや価値観が多様化して家族類型も大きく変化をしてきた中で働き方に中立的な社会保障制度等はどうあるべきかという視点で検討を重ね、取り組むべきものの1つとして第3号被保険者制度の廃止の方向性を掲げているということです。

(中略)

例えば女性が親の介護で仕事を辞めざるを得ないとなった時に結婚してる人は2号から3号に行くことができますが、結婚してなければ第1号になります。どういう人生を歩むか、結婚してるかしてないかだとか、3号でも死別なのか離別なのかによってこれが変わるということ、ライフスタイルによって女性のその位置付けが変わってしまうことは、不公平な制度ではないかと私自身は思っているので、やはりどういう生き方を選択しても中立的に不利にならないような制度にしていかなければならないと思っています。

(中略)

バブルがはじけて93年から片働き世帯よりも共働き世帯のほうが増えてきているので、共働き世帯中心の税・社会保障制度を作っていくことが一人一人にとって中立的になるのではないかと考えていますので、そういったことも分かりやすくそして何が問題でどういう形が不利になってしまうのかということについて、分かりやすく丁寧に連合としても問題提起していきたいと思います。

引用:連合記者会見(2023年6月15日)

 

政府は、労働組合の中央組織である連合の会長が、第3号被保険者制度の廃止を要請する方向であることを根拠に、労働者の理解は得られたと宣伝するつもりなのだろうと言う記者もいるそうです。

 

目前に迫っている2025年問題のため社会保障費を確保したい

2025年問題とはなんでしょうか?

※引用:X

 

2025年問題とは?
団塊世代(1947~1949年生まれ)が75歳以上の後期高齢者となることで起こる様々な問題

 

団塊世代は第1次ベビーブーム世代で、第二次世界大戦の終結で安堵した人々が子供を作ったために、前後の世代に比べて極端に人口比が高い世代です。

人口比を見たときに、20代と比べてはるかに人口が多いのがわかります。

この団塊世代が75歳以上の後期高齢者に入るのが2025年頃

日本は超高齢化社会に突入し、社会保障費の急増が見込まれています

この高齢化の速度はどの国も経験したことがない速度で進行しており、世界でも低い出生率と最も高い平均余命の結果であると考えられています。

2025年問題の今考えられる主だったものは以下の通りです。

  •  社会保障費(医療費や介護費・年金など)の負担増大
  •  医療・介護体制の維持の困難化・人材不足
  •  認知症高齢者の増加
  •  高齢者世帯の一人暮らし・高齢夫婦のみ世帯の増加
  •  年間死亡者数の増加
  •  後継者不足による廃業がもたらす雇用とGDP(国内総生産)の喪失
  •  企業の人材不足と採用難
  •  人材育成や技術の継承
  •  既存システムのブラックボックス化・維持費用高額化

 

年金に関わる問題としては、今まで年金制度を支えていた側だった団塊世代が後期高齢者になり、団塊世代より少ない人口の若い世代の労働力で団塊世代を支えるには、負担が増えるのは確実です。

そして、第2次ベビーブームの団塊ジュニア世代(1971年~1974年)も、50歳を過ぎて定年まで10年を切っています。

日本の高齢化、労働力人口の減少はスピードを増していくことは火を見るよりも明らかです。

また、日本の人口そのものが減少傾向にありますので、労働力確保の問題が政府の喫緊の課題なのです

労働力と厚生年金保険料徴収で約1兆4000億円の財源と両方確保できる一石二鳥の政策になるのが第3号被保険者制度の廃止というわけです。

 

以上4つのことを考えると、労働力不足を補うためにも、国家の収入を増やすためにも、第3号被保険者制度は廃止したいのが政府の本音だと思います。

 

【いつから】主婦年金廃止は2025年の年金制度改正時が濃厚か

 

次の年金制度改正は2025年に予定されていて、2022年10月から厚生労働省の審議会で議論が始まっています。

2019年度の見通しでは将来的に公的年金の給付水準は約2割ほど下がるとされていましたが、コロナ禍で少子化が加速し、年金財政はさらに厳しくなり、給付水準が維持できないかもしれません。

そんな中、社会保険料が免除されている第3号被保険者制度は、結婚出産後も仕事を続けている女性や、単身者からの不公平感が強く、2025年の年金制度改正で廃止される可能性が高いとされています。

今後は会社や個人事業主の負担を軽減した上で規模に関わらず働く人すべてが社会保険に加入できるようにする方向で議論が進んでいるようです。

専業主婦が多かった時代にできた第3号被保険者制度は時代遅れとされ、パートで週20時間以下の短時間労働でも厚生年金に加入するように社会保険適用が拡大するのではと言われています。

ですが、収入がない専業主婦(夫)はどうなるのでしょうか?

収入がなくても国民年金に加入、第1号被保険者となり国民健康保険料を支払うよう改正される可能性が高くなります

仮にそうなれば年間約20万円を払う必要が出てきます。

専業主婦(夫)ならば収入がないので、配偶者が肩代わりして払うことになるでしょう。

具体的な例を挙げてみると、増える負担は以下の通りです。

年収400万円の世帯 16,8240円の負担増
年収600万円の世帯 15,8240円の負担増

 

ですが、前にも述べた通り今まで収入がある配偶者が肩代わりして保険料を払っていたようなものなので、さらに肩代わりすることになり、それはそれで不公平だと思ってしまいますね。

 

主婦年金廃止に対する世間の声は賛否両論

 

第3号被保険者制度廃止に対する世間の声はどうなっているのでしょうか?

 

まずは賛成の声の一部をご紹介します。

全面的に賛成の声と、やむを得ない賛成の声とあるようです。

やはり働くママや第1号被保険者の配偶者などからは、第3号被保険者自身が保険料を免除されている不公平な制度だという意見が多く、廃止に賛成なようでした。

 

対して反対派の声はどうなのでしょうか?

一部をご紹介します。

反対の声として、転勤族の配偶者からは「そもそも働きたくても雇ってもらえない」、介護している人からは「介護で目が離せないのにいつ働きに出ろと」というような悲痛な声が多かったです。

 

確かに転勤は会社によって事情が違います。

3年ごとに転勤する会社もあれば、半年で転勤する会社もあります。

一か月前に内示が出る会社もあれば、着任まで1週間で引っ越しや各手続きをしなければならないような会社もあるのが現実です。

 

介護も各家庭によってさまざまな事情があります。

介護をしている場合、目が離せなかったり、夜中に起こされ睡眠が十分とれていないなど、収入を得るための労働をする体力が残っていない介護者もいるでしょう。

収入を得る手段がないまま、保険料だけ増額されてはたまらない、ということのようです。

 

どちらの言い分も一理あり、どちらが正しいと決めることは難しいことです。

不公平を是正するのも大切ですが、働けない人を追い詰めないことも大事だと思います。

セーフティネットは確保しつつ、不公平感のない年金制度を考えるには、今までの年金制度とは違う方法を模索することも必要なのかもしれませんね。

 

まとめ 年金制度を理解して老後資金を考えよう

いかがでしたか?

今回は主婦年金と言われる第3号被保険者制度廃止について調べてみました。

どの立場にいるかによって賛成か反対か意見が分かれる第3号被保険者制度。

今後、老後の資金は最新の年金制度を理解した上で資産形成を考えることが必須だと思われます。

2025年に向けて政府がどのような政策を打ち出すのか、注視していきましょう。

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