2023年12月20日、ダイハツ工業は第三者委員会による調査で25の試験項目で174件の不正が見つかったことを公表しました。
これを受けて、ダイハツは国内外すべての車種で出荷停止を決定。
出荷再開は未定です。
このような大規模な不祥事を起こしたことで、ダイハツは倒産するのではないか、と話題になっています。
そこで、ダイハツは倒産するのか、しないのか、またその理由を調べてみました。
・ダイハツは潰れない
・ダイハツが倒産しない理由7つ
ぜひ参考にしてみてください。
もくじ
ダイハツは100%潰れない!
2023年12月21日に国土交通省の査察が入るなど、大きな不祥事に揺れるダイハツ。
イメージダウンは必至で、大量リコールや買い控え、取引先への補償など、支出額が大きくなりそうなことから、「倒産するのでは?」との声も出ています。
ですが、調べたところほぼ100%倒産はしないと言える理由が見つかりました。
これからダイハツが倒産しない理由を考察していきます。
ダイハツが倒産しない理由7つ
これだけ大きな不祥事を起こしたとしても、ダイハツは倒産しないと言える理由を7つ挙げてみます。
- 親会社がトヨタ
- 融資する金融機関が必ずいる
- 第三者委員会が安全性を認証している
- 第三者委員会が認めた現場従業員の真面目さ
- 経営陣の初動の対応
- 取引先や購入者にできる限りのことをしようとしている
- 根強いダイハツファンがいる
順にご説明していきますね。
親会社がトヨタ
2023年12月20日の記者会見にトヨタ自動車の中嶋祐樹副社長が出席していたように、ダイハツはトヨタ自動車の完全子会社です。
親会社が発行済み株式を100%取得した子会社のこと。
ダイハツは2016年にトヨタの完全子会社化している。
トヨタの豊田章男会長も「今後、ダイハツが一日も早く信頼を取り戻すよう全社一丸となり、親会社のトヨタとしても全面協力をしていく」(NHK NEWS WEB)と発言しています。
トヨタの支援を受けて再建をするはずですので、倒産という事態にはならないと思われます。
融資する金融機関が必ずいる
ダイハツは約3割の軽自動車のシェアを持っています。
2006年以降、軽自動車新車販売シェアNo.1の会社です。
親会社がトヨタであり、販売実績がこれだけあるダイハツですから、資産価値を見出して融資する金融機関が必ず出てきます。
倒産とは、ざっくりいうと「お金が回らなくなった状態」を言います。
日常的に使用する「倒産」という言葉は、法律用語ではありません。一般的には「企業経営が行き詰まり、弁済しなければならない債務が弁済できなくなった状態」を指します。具体的には、以下に挙げる6つのケースのいずれかに該当すると認められた場合を「倒産」と定めます。
- 銀行取引停止処分を受ける※1
- 内整理する(代表が倒産を認めた時)
- 裁判所に会社更生手続開始を申請する※2
- 裁判所に民事再生手続開始を申請する※2
- 裁判所に破産手続開始を申請する※2
- 裁判所に特別清算開始を申請する※2
※1 手形交換所または電子債権記録機関の取引停止処分を受けた場合
※2 第三者(債権者)による申し立ての場合、手続き開始決定を受けた時点で倒産となる
倒産は会社を清算(消滅)させる”清算型”と、事業を継続しながら債務弁済する”再建型”に分けられます。
清算型:「破産」「特別清算」、大部分の任意整理
再建型:「会社更生法」「民事再生法」、まれに任意整理の一部
つまり、融資してくれるところがあれば、資金は回っていくので倒産はしないということになります。
第三者認証機関が安全性を認証している
不正行為が行われた車種については、安全性能・環境性能が法的な基準を満たしているかをダイハツ社内で確認をしています。
また、検証結果・プロセスについても第三者認証機関が確認していますので、安全性は問題ありません。
ほとんどの車種は、法規で定める性能基準を満たしていると確認されていると発表しています。
ただ、キャストは側面衝突試験における「乗員救出性に関する安全性能(ドアロック解除)」が適合していない可能性があるそうです。
これについてはおそらくリコール対象となるでしょう。
また、国土交通省も不正行為が確認された車種について、速やかに確認試験を行い、基準を満たしていると確認されたものは順次結果を公表するとしています。
結果的には、すでに市場に出ているダイハツ車に莫大な補償費用が発生するとは考えにくく、補償は取引先、新車購入者などに限定された範囲に収まりそうです。
金銭面ではなく、信頼を損なっているのだから、消費者からの支持が得られず今後倒産するのではないか、と思う方もいるかと思います。
その面から見ても、倒産する可能性は限りなく0に近いことを考察してみます。
第三者委員会が認めた現場従業員の真面目さ
ダイハツの第三者委員会の報告書は、現場従業員の真面目さを評価しており、改善の方向性を間違えなければ信頼を回復できると期待している、としています。
※引用:第三者委員会 調査報告書
今回の不祥事の原因は、過度の短期開発の推進に加えて、硬直した社風、コンプライアンス意識の希薄化、現場の窮状を放置した経営陣などが挙げられます。
開発期間の見直し、様々なシステムの透明化、外部機関の支援、コンプライアンス意識の向上などの対策が考えられますが、これらのことは経営側の課題です。
言い換えれば、経営側が粘り強く再発防止の施策を誠実に続け、それを発信し続けることで信頼を回復することができる、ということではないでしょうか。
長い時間がかかることですが、これを耐えられるだけの体力はある会社だと思います。
経営陣の初動の対応
ダイハツは2023年4月28日に発表された認証申請における不正行為を受けて、第三者委員会を早々に立ち上げ、真の原因を追究、分析し、再発防止に向けて取り組む姿勢を見せました。
その結果、今回の不祥事の発覚に至ったわけですが、経営陣は一貫して責任は経営側にあると明言しています。
経営マネジメントが現場に寄り添えず、法令遵守や健全な企業風土の醸成が疎かになる中で、正しいクルマづくりを見失い、現場が不正行為をせざるを得ない環境となってしまった結果、不正行為を発生させたと考えられます。
(引用:ダイハツ工業 第三者委員会の設置について)認証を軽視していると指摘されてもやむを得ない行為が行われていたこと、また、そのような行為が行われる環境を生み出してしまったことの責任は経営陣にあります。自動車メーカーとしての根幹を揺るがす事態であると、大変重く受け止めております。
(引用:ダイハツ工業 第三者委員会による調査結果および今後の対応について)
経営陣が現場のせいにせず、自らの責任を認めていることで、必要以上のイメージダウンを防げていると思います。
イメージダウンをできるだけ少なくすることは、信頼回復への早道になるでしょう。
また、問題意識を自分事としている経営陣の方が、他人事のように責任を感じていない経営者より、信頼回復へのスピードが速いことは確かです。
取引先や購入者にできる限りのことをしようとしている
ダイハツは今回の不祥事を明らかにした翌日の2023年12月21日には、出荷停止のため納入先がなくなる部品会社の補償についての交渉を個別に開始しています。
新車の購入者については、個々の販売会社の違いはあるでしょうが、キャンセルや返金など真摯に対応している販売会社がほとんどのようです。
今の時点でできる限りのことをしようとする姿勢は、信頼回復の第一歩となるのではないでしょうか。
ユーザーはもとより、部品メーカーの信頼が得られないことには車を製造することができません。
そのための補償や対応を誠実にいち早く行うことで、再起を応援しようという機運が生まれ、協力が得られると思います。
根強いダイハツファンがいる
大規模な不祥事を起こしてしまったダイハツですが、それでもダイハツ車が好き、という根強いファンがいるのも事実です。
一部ご紹介します。
※引用:X
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※引用:X
※引用:X
※引用:X
このように、不正行為は許されないことだけれど、しっかり反省して膿を出し切り、再起を図ってほしいと願うユーザーが多いのが印象的です。
これだけ支えてくれるファンがいるのですから、二度と信頼を裏切るようなことがないように、再発防止に取り組んでほしいですね。
まとめ
いかがでしたか?今回は、大規模な不祥事を起こしたダイハツが倒産しない理由を調べてみました。
ダイハツの不祥事の構造は、長所は勤勉であり、短所は近視感的に物事を考えがちと言われる日本人的特徴がよく表れたものだと思います。
目先の物事にとらわれて、一番大事な「法を守ること」「安心安全な車を送り出すこと」を見失った結果、信頼を失うような不祥事を起こしてしまいました。
一度失った信頼は、取り戻すのが難しく、回復するのに時間がかかるものですよね。
ダイハツが信頼を取り戻すことができるのか、これからの動向に注目していきましょう。